学生や研修医への提言
脳神経小児科ができて4年目に卒業しました。授業中に聞いた有馬先生の講義に感動して脳神経小児科を専門とすることにしました。
当時、同級生から「脳神経小児科に行っても治せる病気はないではないか」と言われて、少し悔しく思っていました。
それから40年、原因遺伝子の発見とその原因遺伝子の機能や病態の研究から、小児の神経遺伝病の中で、ニーマン・ピック病C型の神経症状の治療薬、結節性硬化症の治療薬、ゴーシェ病の神経症状の治療薬などに有効な治療法が出てきました。
小児神経学は、周産期の脳障害の軽減、てんかん性脳症の治療、脳炎・脳症の治療などの急性疾患への対応、てんかんの治療、増加する在宅の重症心身障がい児の医療的ケアと救急医療だけでなく、今後小児神経疾患の神経症状の治療に向けて多くの成果が期待され、たいへん魅力ある領域です。
また自閉症スペクトラム症や注意欠如多動症に該当する子は5%近くにいると言われています。
現在、私は、小児神経専門医として、労災病院の小児科外来(週1)、児童自立支援施設だる喜多原学園の嘱託医師(月1)、鳥取県教育センターの嘱託医師として中部教育相談の担当(月1)、鳥取県立米子養護学校校医をしています。
自閉症スペクトラム症や注意欠如多動症の性格や行動特性を持つ子の二次障害を軽くし、人と人の間で人となって、人としての役割を果たすことができるように、教育との連携と医学的支援を行っています。
小児神経専門医は年をとっても社会から必要とされる役割が多くある専門医です。