骨は、成熟した骨芽細胞が骨基質となる細胞外マトリックスを合成・分泌することで作られます。この細胞外マトリックスの一つにオステオカルシンがあります。オステオカルシンは、骨の非コラーゲン性タンパク質の25%を占めていて、骨組織の中でも骨芽細胞で強く発現しています。骨芽細胞で作られたオステオカルシンは骨基質に取り込まれるか一部血液中へ放出されるため、骨の鉱質形成やカルシウムイオンの恒常性維持に寄与するだけでなく、血清オステオカルシン量は骨形成マーカーとして用いることができます。

私たちはこれまでに、ヒトオステオカルシンのエンハンサー/プロモーター配列の制御下でルシフェラーゼを発現するトランスジェニックマウス(OC-Luc)を作製しました。このマウスを使うとIn vivoイメージングにより骨形成活性をリアルタイムにモニターできたことから、加齢に伴う骨形成活性の低下を追跡するとともに、加齢に伴う骨折の治癒遅延を評価できるモデル系を確立することもできました(Ref)。最近では、動物性ビタミンDD3)と植物性ビタミンDD2)への骨形成に及ぼす影響の違いを明らかにし(Ref)、OC-Lucマウスが様々な医薬品や機能性食品のスクリーニングに利用できることが示しました。

現在は、妊娠期や運動時における骨組織制御メカニズムの解明を目指して研究を進めています。


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