トップ > 21世紀COEプログラム「染色体工学技術開発の拠点形成」 > Japanese/日本語 > 染色体工学とは ~鳥取大学における染色体工学研究の取り組み~
写真 短いDNA は細胞を壊して取り出される。しかし細胞を壊すと染色体も壊れてしまうので、この方法では細胞から染色体を無傷で取り出すことはできない。ところがある特殊な細胞に分裂を妨げる薬剤を投与すると、本来一つの細胞核に包まれるはずの染色体が別々の細胞核に包まれる現象が起きる。この現象を利用することで、1本の染色体を含む「微小核」を取り出して別の細胞に移す、「染色体移入技術」が開発されてきた。
 一方でDNAに生じた傷を治したり、親が子供に遺伝子を伝える際に、細胞は染色体の組み換えを行うことが知られている。この性質が際立っていて、外来のDNAを染色体上の狙った場所に導入できる細胞株が見出された。この細胞を利用すると、細胞のなかで染色体を短く切ったり繋ぎ変えたりすることができる。
 遺伝子工学は、細胞を壊して取り出した短いDNAを精製した酵素によって試験管の中で繋ぎ変え、大腸菌を宿主として増やす技術である。これに対し染色体工学は、細胞自身を宿主として染色体を自在に繋ぎ変え(ゲノム改変)、さらに別の細胞に移す(染色体導入)技術だといえる。

 鳥取大学の押村研究室では、この染色体工学技術を用いて数々の研究を行ってきた。この技術により、特定疾患のマッピング、遺伝子クローニング、染色体構造・機能の解析、癌・老化のメカニズムの解明、ダウン症などのモデル動物の作製、医薬品としての完全なヒト型抗体を産生するマウスの開発などを行い、世界の最先端の革新的技術を確立してきている。現在はこの技術の粋を集めたヒト人工染色体ベクターの開発とその遺伝子再生医療への応用のための研究が進められている。
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