診療のご案内

ロボット支援前立腺全摘除術

2011年8月以降、当院でのダビンチSを用いたロボット支援前立腺全摘除術は先進医療(国内で4ヶ所のみ)として行ってきましたが、2012年4月以降は、通常の医療保険が適応となり、患者様の負担が大幅に軽減されることになりました。

ロボット支援

ロボット支援
da Vinci 紹介ビデオ
ロボット支援前立腺全摘除術について

前立腺癌の手術療法において、我々医師が達成しなければならないゴールは、

  1. 周術期に重大な合併症が起きないこと
  2. 前立腺癌が根治できること
  3. 尿禁制を損なわないこと
  4. 勃起機能を損なわないこと

つまり、患者様に出来てしまった癌のみを取り除き、かつ手術前と比較して生活の質が変わらないことを出来る限り目指す必要があります。

前立腺は骨盤の底に位置し、その周囲は重要な血管や神経、尿道括約筋などの重要な構造物が存在します。これらの構造物は、すべてその損傷により短期的、もしくは長期的な合併症を引き起こします。

ロボット支援

癌の根治性を損なわずに前立腺周囲の構造物を出来る限り温存するためには、まずは出血の少ない良好な視野を確保する必要があります。医師の未熟な操作により、手術の前半で出血が起きてしまって、手術中の良好な視野が確保できなければ、機能温存は到底不可能です。

ロボット支援手術の利点の一つに、高解像度の3D画像が挙げられます。また、気腹圧により出血の少ない視野での手術が可能となります。

良好な視野のもと、精密な観察が出来た場合は、前立腺周囲の精密な解剖学的観察が可能となります。この状態で、手術操作を行うわけですが、せっかく良好な視野が得られたとしても鉗子が術者の意図したとおりの動き、すなわちまさに指先と全く同じ感覚で動くことが出来なければ、精密な手術操作は可能とはなりません。ロボット支援手術では、7自由度を持つ関節により、精密な鉗子が指先と同じ動きを可能にします。また、コンピュータ制御により手振れを防ぐことが可能です。このため、剥離、切断、縫合などのすべての操作を高い精度で行うことができます。

ロボット支援手術01 ロボット支援手術02 ロボット支援手術03

現在、ロボット手術は、欧米ではすでに一般的に広く施行されている治療法であり、すでに5万件以上実施されています。米国においては、前立腺全摘除術全体のうち、約8割がロボット支援手術で行われております。

我が国においても、2009年11月にはロボット機器が薬事承認され、2010年3月よりロボット機器の販売が開始されました。今後は3次元視が可能で拡大された明るい視野と、7自由度を持ちコンピュータ制御された容易な鉗子操作を持つロボット支援手術が普及することが期待されます。

当院では、ロボット支援手術により、個々の患者様にあった質の高い前立腺全摘除術を行います。

ロボット支援手術04
どのような治療か
術者は患者様から離れた場所にあるコンソールに座り、
三次元モニターを視認しながら操作用手術ロボットを遠隔操作します。

手術は全身麻酔で行います。5mm-12mmの小穴を計6か所作り、そこからロボットが操作する鉗子を4本、 助手(人間)が操作する鉗子を2本挿入します。
術者は高性能三次元ハイビジョン画像を見ながら手術を行います。
手術用鉗子 (エンドリスト)は7自由度を有し、狭い領域でも微細かつ正確な操作が可能です。
フィンガーチップを用いて手術鉗子を操作します。安全かつ容易に操作することが可能です。 手術後には、尿道に尿道カテーテルが入ります。尿道の管は、尿道膀胱の吻合具合を検査した上で、通常術後約1週間で抜去します。

ロボット1

エンドリスト挿入部位

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エンドリスト

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フィンガーチップ

この治療の長所
術者は患者様から離れた場所にあるコンソールに座り、三次元モニターを視認しながら操作用手術ロボットを遠隔操作します。腫瘍制御と生活の質 (QOL)の両立を目指す手術療法です。

小さな手術創、少ない出血量で低侵襲手術を可能にしました。
微細な手術操作により、腫瘍制御と早期尿禁制・性機能回復という相反する問題を両立させました。

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当科のロボット手術の特徴

従来から、本術式に必要不可欠な骨盤解剖の研究を行ってきました。これらの基礎研究については数多くの国際誌に成果を発表してきました。
2006年より、米国や国内でトレーニングを行ってきました。3名の米国資格認定医、6名の国内資格認定医が在籍しています。もちろん定期的に、国内外で技術研修を継続しています。
機能温存手術について、米国コーネル大学と共同で新たな術式を開発してきました。
神経温存術式は、従来の温存・非温存というシンプルな分類ではなく、患者様に応じた4段階術式を取り入れています。それぞれの患者様に、より適した術式を行います。
骨盤底の構造を可能な限り術前と同じ状態に復元することで、術後早期の尿禁制回復を図ります。

以上のように、国内では本術式をリードしている施設です。

この治療の対象

通常の前立腺癌の手術適応と変わりはありませんが、少し進行した症例でも 他臓器損傷を来さず、摘出ができる可能性があります。
下腹部に大きな手術の既往がある方は、施行が困難な場合があります。
虫垂炎の手術程度であれば何の問題もありません。
詳しくは担当医にお聞きください。

費用について

2012年4月より全面的に保険医療となりました。

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