深田美香先生

基礎看護学 教授

深田美香

鳥取大学医学部 保健学科
基礎看護学講座 教授

研究内容

  • 看護職者の生涯発達に関する研究
  • ストレス緩和とリラクセーションに関する研究

看護師の離職率がなぜ高いのか?県内で働く看護師を対象に、仕事に対する満足度等の調査を実施。そこから見えてきた現状を分析し、その対応策を見つけ出すべく、日々研究に取り組んでいる深田教授に話を聞いてみた。

離職率の推移

近年、看護師の離職率は減少しているものの、依然多いのが現状だ。看護師として働くための看護師免許を持ちながらも看護の職に就いていない者が70万人強いる。正確な数は定かではないため、実態は、その数字以上の数である。

全国のデータは「病院看護職員実態調査」(日本看護協会)
鳥取県のデータは「看護職員異動状況調査」(鳥取県医療政策課)

中堅職員のスキルアップ

最近では、出産、子育てをしながらでも仕事に就けるよう支援体制が充実し、育児休暇、時間短縮制度等を利用する看護師が増えている。その一方で、制度を活用していない看護師の職務満足を高める対策は進んでいない。そのため、ある程度の技術を持った中堅看護師がさらなるスキルアップを望むも勉強をする時間の確保が困難な状況であり、そんな中堅看護師の支援体制が必要である。

求められる中堅看護師への支援体制

調査から、結婚、出産等を就労継続困難の理由に挙げている20~30代に対し、休息、関心領域での勤務を求める中堅看護師の実態が浮かび上がった。 そんな中堅看護師の支援体制の一つとして、年代別に対応したメンタルサポートの充実が進められている。しかし、メンタルサポートの場を設定しても、なかなか相談に行きにくいのが現状だ。そこで考えたのが、スキルアップを求める中堅看護師のための研修制度。さらには、看護師として患者さんと向き合うために自分自身を振り返ってもらう「リフレクション研修」、看護の本質を振り返りながら考える機会を設けることも支援につながっている。

奥田玲子、畠山久美子、深田美香、粟納由記子 佐々木晶子 岡本幹三:A県看護職者の就労継続意志に関連する要因分析、米子医学雑誌、第65巻6号、137-145

看護の本質

深田教授は、話す。「まだ、私が看護師になったばかりの頃、病棟業務がなかなかスムーズに進まず、先輩看護師から、『患者と直接かかわる仕事以外は、自分達がフォローするから、看護師として、本来、するべきことをしなさい』と言われ、『一人一人の患者としっかり向き合い、看護師として看護を行うことから始めよう』と思えたことで今の私がいる。重要なのは、『人としてその人を看ること。』である。」

受験生へのメッセージ

看護職者は、保健・医療・福祉の幅広い分野で人々に寄り添い、その人らしい健康を守っています。人が好きで、人の生き方に関心があれば、資質は十分です。人との触れ合いの中で喜びとやりがいを感じてみたい人、お待ちしています。