德嶋靖子先生

地域・精神看護学 助教

 徳嶋靖子

德嶋 靖子

鳥取大学医学部保健学科
地域・精神看護学 助教

研究内容

・介護予防に関すること
・保健師教育に関すること

中心市街地における高齢者の保健行動支援のための実態調査

 2025年には日本人の3人に1人が高齢者になるといわれています。これに伴い、独居あるいは高齢者世帯の増加、介護を必要とされる高齢者も増加が見込まれます。介護状態を予防することで、できるだけ長期間自立した生活を送ることが期待されています。要介護の原因の第一位は脳卒中です。しかし、注目していただきたいのは、脳卒中、心臓病を含む循環器疾患(下図の赤色部分)と「転倒・骨折」または「関節疾患」(青色部分)はほぼ同程であることです。内科疾患および整形外科疾患のいずれも予防することが介護状態強いては健康寿命を延ばす要となります。
 この度の調査は、後者の青色部分が要介護の主な原因であり、独居高齢者の割合が高い地域を対象とし、65歳以上の高齢者世帯で介護度が要支援1~要介護2程度の方に訪問聞き取り調査を行いました。
 調査は研究者だけではなく、民生委員の方々や米子市長寿社会課に協力していただきました。

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対象地域:本学医学部周辺の中心市街地



結果
(1) 健康に関すること
・ほぼ全員がかかりつけ医をお持ちで、病気の種類によって医療機関を使い分けておられましたが、虚弱高齢者は元気高齢者の方たちよりも、一人当たりの医療機関数が多い傾向がみられました。
・治療中の病気は、多いものから順に高血圧、関節や背骨の病気、骨粗鬆症で、虚弱高齢者のほうが元気高齢者よりも整形疾患を治療している方が多かったです。また、転倒に対する不安を感じている方も多かったです。

(2)生活習慣
・健康のために気をつけていることとして、「人と話す」、「頭を使う」が多く、日記などの書き物、手芸や木工等の創作やクイズを解くことを日課にしている方が多数でした。

(3)外出に関すること
・主な移動手段が自転車や自動車の人は、徒歩の人よりも外出頻度が高い傾向にありました。
・80歳を機に自転車や自動車の運転をやめる傾向があり、身体的変化による外出状況の変化がみられました。【図1】
・介護度が上がると外出意欲が低下する傾向がみられました。【図2】


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【図1】

 

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【図2】

(4) ご近所付き合い【図3】
・空き屋や昼間留守のお宅が多く、昼間に何か起こっても気づいてもらえないことを危惧される人が多かった。
・地域の方々との関係が日常生活の安心につながっていることがうかがえた。
・元気高齢者と虚弱高齢者で比較すると、虚弱高齢者は近所づきあいが深い傾向がみられました。

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【図3】

 これらの結果から、地域の高齢者世帯の方々は、加齢に伴う身体的な変化により外出をはじめ活動が減少傾向にあるものの、趣味や楽しみを持ち、人との交流により精神的な活動を維持していることが示唆されました。また、地域の特徴として医療機関を利用しやすく、定期受診しやすく病気と上手く付き合いながら生活している様子が伺えました。
 一方で、地域で生活するにあたって、日中一人で過ごすことに対する不安等もあり、ご近所をはじめ身近な方のサポートが重要であることが示唆されました。

 

今後の展望

 本調査から、地域で生活しておられる高齢者にとって、健康状態に関わらず、緊急時をはじめ日頃から見守り支援の必要性が示唆されました。地域で健やかに暮らし続けられるための体制づくりを目指して、今後は、見守り支援をする側の実態から強みと課題を抽出し、継続可能な健康見守りシステムづくりに役立てたいと考えています。

 

受験生へのメッセージ

 将来どんな風にありたいですか。健康は自己実現の手段の1つになると思います。皆が等しく歳を重ねていきますが、生活習慣や気持ちの持ち方でその後の自分自身の心身の影響があると思うと、今が未来をつくっていると考えずにはいられません。予防活動は、未来のための健康サポートです。結果がすぐに出ないから何だか地味に感じるかもしれませんが、だからこそ、試行錯誤のやりがいが期待できる分野だと感じています。そして、さまざまな「?」を研究することがより効果が期待できる予防活動につながると信じています。大学にはたくさんの研究者と学生さんたちがいて、地域にもたくさんの貴重な人材がいます。きっと、幅広い視点で健康をとらえて、新しいモノ・コトにチャレンジする気持ちが沸いてくることでしょう。一緒に活動できる日を楽しみにしています。