この人に注目! 中曽一裕先生

【職員レポート!】中曽一裕先生をご紹介します。

中曽先生

中曽一裕

鳥取大学医学部 医学科病態解析医学講座
統合分子医化学分野 准教授

研究内容

  • 神経変性疾患(パーキンソン病、アルツハイマー病など)に関する基礎研究
  • 食品成分(コーヒー、米糠、ビタミンE、ポリフェノールなど)による神経変性疾患抑制に関する研究

神経変性疾患とは?

高齢化社会を迎えて、老化に伴う病気が増えてきています。その代表的な病気がパーキンソン病やアルツハイマー病です。今回はパーキンソン病について説明します。

全日本コーヒー協会「Coffee Break」2014August vol.80より※通常の中脳の黒質にはメラニン色素を含むドーパミン神経が密集している。一方、パーキンソン病患者の脳では中脳のメラニン含有ドーパミン神経が変性脱落するため、黒質の黒い部分が少なく見える(矢印の部分)
全日本コーヒー協会「Coffee Break」2014August vol.80より※通常の中脳の黒質にはメラニン色素を含むドーパミン神経が密集している。一方、パーキンソン病患者の脳では中脳のメラニン含有ドーパミン神経が変性脱落するため、黒質の黒い部分が少なく見える(矢印の部分)
全日本コーヒー協会「Coffee Break」2014August vol.80より
全日本コーヒー協会「Coffee Break」2014August vol.80より

パーキンソン病は脳の特定の部位の神経細胞が弱り、死んでいってしまう(図1)、それによって手足の震えやこわばり、歩行障害などが現れる病気で、人口10万人あたり150人前後の人がかかっているといわれています。その本質はまだ完全には分かっていませんが、加齢、酸化ストレス、体質など様々な要因が関係して発症すると言われています。(図2)
実際の治療は先に説明した症状を軽くする、いわゆる対症療法が中心ですが、国内外で再生医療や遺伝子治療などの研究が活発に行われています。そんな中で、我々は少し視点を変えて予防医学の観点からの基礎研究も積極的に取り入れています。
すなわち「パーキンソン病になりにくくするためにはどうすればよいのか?」という研究です。こういった予防医学の研究はどのように進めれば良いのでしょうか?

研究のアイデア

意外にも、身近な食べ物や飲み物にそのヒントが隠されている時があります。
例えば、以前外国の研究チームがハワイで行った大規模調査により、「コーヒーをたくさん飲む人はパーキンソン病にかかりにくい」ということが明らかにされました。そういった報告にアイデアを得て、カフェインやクロロゲン酸といったコーヒーの成分をひとつずつ調べていくと、それぞれ異なったメカニズムによる細胞保護効果があることがわかりました。カフェインには細胞生存に重要な細胞内シグナル伝達を活性化させる働きがあり、クロロゲン酸にはパーキンソン病関連分子の酸化を抑えて細胞保護効果を示すことが分かり、我々はそれぞれの成果を学術雑誌に発表しました。
今後、さらにこの研究成果を参考にして世界のどこかで新しい治療のアイデアや予防効果のある食品を研究する人も現れるかもしれません。

中曽先生図3

受験生へのメッセージ

私は、臨床医(神経内科医)を経て現在の研究・教育中心の道に進みました。医療や医学への貢献の仕方は様々です。目の前の患者さんを助けること、研究で病気の原因や治療法を発見すること、医師や医学研究者を育てること、行政の立場から社会的に関わること、すべてが世の中に必要な関わり方です。
鳥取大学はいずれの進路にもチャンスが拓ける大学です。鳥取大学に入って多くを学び、経験する中で自分に一番適した進路は何なのかを見つけてまい進してください。

取材班からの一言

近年、よく耳にするようになった「パーキンソン病」。“治療”という病気後の観点からではなく、“予防”という病気前の観点からの研究。パーキンソン病の発症を抑える可能性として、全日本コーヒー協会の発行出版物「Coffee Break」に中曽先生の研究が掲載されました。私達にとってより身近にできる予防であり、また、身近な研究内容のように感じました。

中曽先生図4
全日本コーヒー協会「Coffee Break」2014August vol.80
Neurosci. Lett. (2008)
J. Clin. Biochem. Nutr. (2012)