教授挨拶

教授挨拶
吉川 泰司
心臓血管外科 教授

2023年11月1日より鳥取大学心臓血管外科の第6代教授に就任いたしました吉川泰司です。

私は米国イェール大学およびハーバード大学ブリガム・アンド・ウィメンズ病院でクリニカルフェローとして冠動脈バイパス術や弁膜症手術といった一般心臓手術のみならず、心臓移植や低侵襲心臓手術(MICS)のトレーニングを受けました。その後大阪大学心臓血管外科教室で心臓移植・人工心臓治療やMICS、ロボット心臓手術に従事し、2020年4月に鳥取大学心臓血管外科教室に赴任いたしました。

鳥取大学心臓血管外科教室は第二外科教室として1956年に開講した伝統ある外科教室です。当教室はこれまで、山陰地方における心臓血管外科の普及と発展に寄与してきました。現在、当教室は山陰地方において、ロボット心臓手術、TAVI(経カテーテル的大動脈弁置換術)、人工心臓治療といった高度医療を提供できる最後の砦の役割を担っています。高齢化社会が進む中で、心臓血管外科の向かうべきベクトルは手術の低侵襲化と心不全の克服であると考え、当教室ではロボット心臓手術を含む低侵襲心臓手術と重症心不全治療に重点を置いて、国内のみならず世界からも認知される施設になるべく発展させていきたいと考えています。

研究面ではこれまでの当教室の伝統を継承し、再生医療や人工心臓の研究といったトランスレーショナル・リサーチを、基礎医学教室と積極的に連携をはかり推進していきたいと考えています。世界に羽ばたく、臨床と研究のバランスの取れたアカデミックサージャンを一人でも多く輩出したいというのが私の願いです。

「人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり」という武田信玄の言葉の通り、教室員は当教室の宝であり財産であります。「医育」が私のモットーであり、思いやりや多様性を尊重していきたいと考えています。当教室ではハンズオン・トレーニングを重視しており若者に多くの執刀機会を与えています。若者に多くのチャンスを与えることにより個々の技術力・モチベーションが上がり、ひいては教室の組織力が上がることに繋がると考えています。また希望者には海外臨床留学を推奨し、短期間に集中的に手術経験を積むことができるよう指導していきたいと思います。「若者が集まる」教室を目標とし、日本で初めて人工心肺を用いた開心術を行った故曲直部寿夫大阪大学教授が言われた「和気満堂」(その場が和やかな気で満ちる)の精神で、高度医療を世界に向け発信していきたいと考えています。