Dr. Murakami

ランゲルハンス細胞組織球症発症仮説 

A hypothesis of Langerhans cell histiocytosis 

(LCH反応説を支持するデータ、LCH腫瘍説を支持するデータを併せた発症仮説) 

現在進行中の研究: KAKEN 

LCH反応説を支持するデータ(IL-17:ウイルス感染に関与)  

IL-17A receptor expression differs between subclasses of Langerhans cell histiocytosis, which might settle the IL-17A controversy. 【参考】

LCH反応説を支持するデータ(SHP-1:インターフェロン産生に関与) 

Tyrosine phosphatase SHP-1 is expressed higher in multisystem than in single-system Langerhans cell histiocytosis by immunohistochemistry

Murakami I, Oka T, Kuwamoto S, Kato M, Hayashi K, Gogusev J, Imamura T, Morimoto A, Imashuku S, Yoshino T. Virchows Arch 2011, DOI: 10.1007/s00428-011-1090-1

ランゲルハンス細胞組織球症(Langerhans cell histiocytosis = LCH)の亜型である

single-system LCH (LCH-SS)multisystem LCH (LCH-MS)における検討です。

より広範に病変が広がるLCH-MSの方がフォスファターゼであるSHP-1の発現が

増加している事を免疫組織化学(Immunohistochemistry=免疫染色)にて見出しました。

皮膚病性リンパ節症(皮膚の炎症→表皮内ランゲルハンス細胞がリンパ節に大量に

移動しリンパ節が腫大する疾患)とリンパ節に発生したLCH

病理診断における鑑別に役立つデータとしても記載しました。

SHP-1は、Toll-like receptor等からインターフェロン産生シグナル伝達経路における機能

知られています。

検討に際し、浜崎癌研究助成金を頂きました。

fig sp-1

LCH腫瘍説を支持するデータ

Detection of molecular cytogenetic aberrations in Langerhans cell histiocytosis of bone.

Fig 1 of Hum Pathol I Murakami

留学中(フランス政府給費留学)にさせて頂いたランゲルハンス細胞組織球症(LCH)に関する検討です。留学先のネッケール・小児病院病理部門には当時もかなり病理医がいましたが、2011年現在病理医が15人程度いるようです。同じ敷地内に医学部(パリ第Ⅴ大学)があり、基礎医学の講座はそちらに属していますが、外科や内科等の臨床医学は病院の方に講座があります。病理(病理診断学)も臨床医学ですので病院の方に所属しています。現在のシェフ(主任教授)は、third authorのFournet JC先生です。彼は、長い間、パリを離れてカナダで病理医をしていましたが、Jaubert F教授の後任として帰って来ました。この病理部門は、病理診断学を主にした部門です。この部門で得られた材料を用いて、CGH法☆による解析やマイクロサテライト解析(LOH解析)をさせて頂きました。ネッケール・小児病院の敷地内に幾つかあるINSERM★のユニットの一つにも出入りしつつ研究を進めました。

☆:  CGH = comparative genomic hybridization

★:   INSERM=Institut National de la Recherche Médicale 

                            フランス国立衛生医学研究所

参考:NCI (National Cancer Institute)ウェブサイトでの引用( NCIのページ reference 13)。

      Histiocytic Disorders of Children and Adultsのp77(Googleブックスp81)で引用。

現在も、研究テーマ一つとしてLCHに関する検討を続けています(助成金:日本学術振興会(2011-2013年)、日本LCH研究会(2011年)、米国組織球症協会(2010年)等)。

2010年、ンパ球増殖疾患 癌診療指針のための病理診断プラクティス (中山書店)の「LCH」の項を、 自治医科大学小児科准教授の森本 哲先生(日本LCH研究会代表)と一緒に書かせていただきました。

Nakayama LCH Murakami Fig HE IHC EM