中村准教授担当分野

准教授 中村貴史グループの研究内容について

<研究内容紹介>

 我々は、ウイルスを用いて生命現象の解明や最先端医療を支える技術の創生に焦点を当て、遺伝子・再生治療薬、及び癌標的治療薬の研究開発を目指しています。 

Fig.1 png
図1:膜融合の制御と遺伝子・再生治療薬への応用
Fig.2 膜融合図
 麻疹ウイルスの感染は、H蛋白の細胞レセプター(CD46又はSLAM)への吸着と、それに伴うF蛋白の膜融合によって成立する。H蛋白のレセプターと相互作用するアミノ酸を同定・排除し、かつ新しいトロピズムを加えることによって、膜融合の制御に成功した。
(Nakamura et al., Nature Biotechnology 22: 331-336, 2004 Nakamura et al., Nature Biotechnology 23: 209-214, 2005参照)

図2:ワクシニアウイルスの増殖・病原性の制御と癌標的治療薬への応用
Fig.3 svFig4. MVV
 マイクロRNA(miRNA)制御機構による遺伝子発現調節と同調させることによって、ウイルス病原性に関わる膜蛋白B5Rを、癌細胞では発現させる(=ウイルスは増殖する)が、正常細胞ではB5Rを発現させない(=ウイルスは増殖しない)miRNA制御ウイルスを作製した。ヒト膵臓癌細胞の皮下腫瘍マウスモデルにおいて、miRNA制御ウイルス()は、腫瘍(矢印)でのみ増殖し、腫瘍の標的破壊に伴って消失した。生理食塩水()は治療効果がなく、無制御ウイルス()は腫瘍を破壊したが正常組織でも増殖し、その毒性でマウスは死亡した。
Hikichi et al., Molecular Therapy 19, 1107-1115, 2011参照)
Update : 2013-07-11