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筋ジストロフィー遺伝子治療 -マウス実験で成功 

817日付の米医学誌「サイエンス・トランスレーショナル・メディスン」で発表)

 

筋肉が萎縮する難病「デュシェンヌ型筋ジストロフィー」の動物モデルのマウ

スから幹細胞を採取し、病気の原因遺伝子を完全に修復してから移植して運動機

能を長期的に回復させることに、日本とイタリアの共同研究チームが成功した。

同疾患の画期的な治療法の糸口になり、遺伝子修復に用いた「ヒト人工染色体」

を遺伝子治療に応用した世界初の成果としても注目されそうだ。

 デュシェンヌ型筋ジストロフィーは、筋肉を作る機能を持つ「ジストロフィン

遺伝子」が欠けていたり異常があったりして、筋肉が徐々に失われていく遺伝病。

正常な遺伝子をウイルスを運び屋にして細胞に組み込む遺伝子治療が模索されて

いるが、ジストロフィンはヒトの遺伝子で最も大きいため、遺伝子全長を運べる

ベクター(担体)がなかった。

 鳥取大の押村光雄教授(遺伝子工学)らとイタリアのサン・ラファエル科学研

究所のチームは、大きな遺伝子をそのまま搭載できる「ヒト人工染色体」にヒト

の正常なジストロフィンを運ばせ、同疾患のモデルマウスから採取した筋肉の基

になる幹細胞に組み込んだ。この幹細胞を培養して増やし、モデルマウスの動脈

に注射すると、約10日後から運動能力が改善、治療効果が続くことも確認できた。

チームは、遺伝子を修復した幹細胞が動脈を介して全身に運ばれ、筋肉に変化し

たとみている。

 押村教授は「ヒト人工染色体が治療に役立つことが初めて示された。今後、

国際共同研究のもと動物実験で安全性や治療効果を十分に確認し、臨床応用に
つなげていきたい。」と話す。

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