English
トップ > トピックス > 「筋ジストロフィー患者由来iPS細胞の遺伝子修復に成功」

(日本海新聞 平成21年12月9日掲載記事)
12.9新聞記事

デュシェンヌ型筋ジストロフィーは、原因遺伝子であるジストロフィン遺伝子が巨大であるため、既存の遺伝子運び屋(ベクター)では遺伝子治療が困難であった。また、通常の遺伝子導入法では患者のゲノムに挿入されることから、がん化などの危険性も指摘されていた。

押村光雄教授と香月康宏助教らは、ジストロフィン遺伝子のゲノム領域全長を搭載した「ヒト人工染色体(HAC)ベクター」により、デュシェンヌ型筋ジストロフィーで欠損している原因遺伝子を完全に修復する技術を開発した。この新たな遺伝子治療 を患者とそのモデルマウスの体細胞から樹立したiPS細胞の中で施した。これにより、ヒトおよびマウスのいずれにおいても、iPS細胞由来の筋肉細胞で欠損していたジストロフィン遺伝子の発現が観察され、長期にわたり安定的に維持された。また、HACベクターで遺伝子治療したマウスiPS細胞から作製したキメラマウスで、ジストロフィン遺伝子の組織特異的な遺伝子発現が観察された。

このように、これまで不可能であったジストロフィン遺伝子の完全な修復が内在ゲノムを傷つけることなく筋ジストロフィー患者由来のiPS細胞で可能となったことから、胚性幹細胞(ES細胞)で蓄積された筋肉分化誘導法を取り入れることにより、新たな遺伝子治療戦略へと発展することが期待される。

 本研究は、戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)研究領域:「人工多能性幹細胞(iPS細胞)作製・制御等の医療基盤技術」の支援のもと、京都大学 山中 伸弥教授らとの共同研究体制で行われた。

詳しくはこちら

 

 

 

 

 

Copyright © 2009 Tottori University Chromosome Engineering Research Center.
〒683-8503 鳥取県米子市西町86 / TEL: 0859-38-6212 / FAX: 0859-38-7514